メニュー -④: メニュー開発に必要な、3要素

メニュー -④: メニュー開発に必要な、3要素

<売れ続ける商品に必要な要素は何か?>
ここまでは、メニューのうち「商品全体」についてお話しました。ここからは、1つの商品を開発する方法、つまり「メニュー開発」について説明します。

商品が売れ続けるには、「企画力」「商品力」「訴求力」の3つが必要です。このうち、どれが欠けても売れ続けることはありません。
たとえば、企画がよくて売れても、商品が期待外れだと続けて売れることはありませんし、お店の信用を損ないます。また、独創的なアイディアと高い技術で作り込んだ商品でも、その企画がお店の客層とあっていなければ、売れることはありません。そして、企画力、商品力ともに高い商品でも、その存在を知ってもらえなければ、売れることはありません。

メニュー開発は、まず企画からです。買ってほしいお客を想像しながら、その人たちに受け入れられそうな商品を創造する、つまり、想像から創造するわけです。失敗するパターンとしては、
・作ってみたら美味しかったので、導入した
・自分が好きな料理だったので、導入した
などが挙げられます。どちらも、想像という段階を踏んでいません。

つぎに商品力を高めるわけですが、これは試作を繰り返し、試食会で制作者以外の声を反映させる必要があります。ただし、お客を呼んで意見交換をする方法は、あまりお勧めしません。
どんなお客でも、コメントを求められれば「少し甘すぎる」「もう少し甘い方がいい」などと意見を言います。これでは収集がつきませんし、誰の味覚を信用してよいのかわからなくなります。試食は、制作者が納得して意見を受け入れられる人、つまり同僚や上司などプロ同士で行うべきだと、私は考えています。どうしてもお客の意見が聞きたければ、ほぼ完成してからアンケートをとり、念のために確認する程度でいいと思います。

最後に訴求する、つまり食べてほしいと伝えるのですが、これには2つの視点が必要です。
1つは、お店を利用しているお客に訴求することです。これは、メニュー表への記載方法を変えることを中心に行います。補足的に、店内の壁面にPOPを作ったり、注文時にお勧めする方法を併用します。
もう1つは、お店を利用していないお客に伝えることです。これには、店頭や外壁にPOPやタペストリーを設置する場合があります。また、ネット広告やチラシなど紙媒体の広告を行うこともあります。

メニュー開発は、このような順で進めます。また、すべて別々の作業のようにみえますが、どれも少しずつつながっています。